こんにちは。
ヒーリングセオリーの癒しの専門家、山田和魅(かずみ)です。
これまでたくさんの方にエネルギーや感情、ヒーリングについてお話ししてきましたが、その中でも特によくいただくご質問があります。
それが、
「癒されていない人は他人にヒーリングをしてはいけないのでしょうか?」
というものです。
今回はこの問いに対する考え方を、ヒーラーとしての視点も交えながら解説していきます。
一見シンプルに見えるこのテーマには、癒す側・癒される側、どちらにとっても見逃せない深い意味があります。ヒーリングの実践に入る前に、ぜひ知っておいていただきたい心構えとして、お届けしますね。
癒されていない人はヒーリングをしてはいけないの?
スピリチュアルやヒーリングに関心のある方にとって、
「癒されていない人は他人にヒーリングをしてはいけないのか?」
という疑問は、一度は耳にしたことがあるかもしれません。
一見もっともらしく聞こえるこのフレーズですが、実はその裏側には、非常に繊細で複雑な心理的背景や思い込みが隠れています。
ヒーリングのやり方を学ぶ際、「癒された人」だけが他者に癒しを提供できる。
そんな理想像のようなものに縛られて、自信をなくしてしまう方も少なくありません。
ですが、この問いに対する答えは、白黒つけられるようなものではないのです。
なぜなら、この「問い」自体に含まれる前提が、実は私たちの思考や感情の深層に影響を与えているからです。
表面的にはヒーリングを受けたい、誰かを癒したいと思っていても、心の奥では「本当はまだ癒されたくない」「このままの方が楽」と感じているケースもあります。
そうした矛盾する本心が、ヒーリングの結果や体験に大きく影響を及ぼしていることに、私たちはなかなか気づきにくいのです。
ヒーリングの効果は「誰を選ぶか」ではなく「自分の本心を知ること」から始まる
「癒されていない人はヒーリングをしてはいけないのか?」
という問いを正しく理解するには、まず受け手側の内面に目を向ける必要があります。
一見、癒されたいと思ってヒーラーに依頼しているように見えても、実は深層では「癒されたくない」「悩みや痛みを持っていたい」と感じている場合があるのです。
たとえば、
- 今の悩みがあることで、周囲から心配してもらえる
- 愚痴を言える理由として、問題を手放したくない
- 現状を変えることが怖い
- 無意識に「改善しないこと」にメリットを感じている
こうした心理状態があると、自然と「自分と似た波長を持つヒーラー=癒されていないヒーラー」を選ぶようになります。
その結果、
「やっぱり効果がなかった」
「むしろ落ち込んでしまった」
といった体験を繰り返すことになるのです。
一方で、癒す側のヒーラーも、常に完璧に癒された状態でいるわけではありません。
むしろ、生きている以上、誰しもが日々のストレスやエネルギーの波にさらされながら、自分自身と向き合い、癒し続けているのが現実です。
ヒーリングのやり方に正解はありませんが、本当に大切なのは、
- 自分は今、どう感じているのか?
- 本心では何を求めているのか?
という部分を見つめることです。
それが、ヒーリングの効果を高めるための第一歩であり、癒す側にも、癒される側にも共通する大切な視点となります。
なぜ癒されていないヒーラーを選んでしまうのか?
「ヒーリングを受けたのに、なぜか効果を感じなかった」
「むしろ気分が重たくなった」
そんな経験がある方は、もしかすると無意識のうちに「癒されていないヒーラー」を選んでいたかもしれません。
これは決してヒーラー側だけの問題ではなく、受け手自身の内側にあるまだ癒されたくない気持ちが関係していることが多いのです。
たとえば、以下のような心理が働いている場合があります。
- 心配される存在でいたいという無意識の願望
- 愚痴や悩みを話すことで人とつながっていたいという欲求
- 状況が変わることに対する漠然とした恐れ
- 問題を持ち続けることで得られる見えないメリット
これらの思いは、普段は自覚されることがほとんどありません。
ですが、こうした深層の意識が働くと、人は「自分の状態と波長の合う相手」を自然と選ぶようになります。
つまり、「まだ本心では癒されたくない」という状態のときは、「癒されていないヒーラー」を選びやすくなるのです。
そして結果的に、「効果がなかった」「やっぱりヒーリングなんて意味がない」といった自己証明を繰り返すことになります。
これは無意識レベルでの現状維持の働きでもあり、心が変化を拒んでいるサインとも言えるでしょう。
ヒーリングのやり方を学ぶうえで、この「受け手の心理状態」が結果に強く影響することを理解することはとても大切です。
完全に癒された人はいない。ヒーラーも日々、揺れている
「癒された人だけがヒーリングをしていい」
このような考え方は一見理想的に思えますが、実はとても非現実的な前提に基づいています。
なぜなら、私たち人間は生きている限り、心も体も常に何らかの負荷や揺らぎを抱えているからです。
疲れやストレス、感情の浮き沈みは自然な現象であり、それを完全にゼロにすることはできません。
つまり、
完全に癒された人間は存在しない
ということを、まずは前提として受け入れる必要があります。
では、ヒーラーが癒しを提供する立場として何もできないのか?
そうではありません。
ヒーラーは、自分のネガティブな側面や未解決の課題に日々向き合いながらも、
- 自分を丁寧にケアする
- 状態に気づき、整える
- フラットな状態を保つために努力する
そうした「セルフメンテナンス」を重ねていくことが求められるのです。
むしろ、そうした積み重ねの中にこそ、本当の意味で「癒しの力」が育まれていきます。
自分のエネルギーが傾いていると感じたとき、無理に誰かを癒そうとするのではなく、まずは自分を整える。
それが、ヒーラーとしての誠実さであり、持続可能なヒーリングのやり方でもあります。
癒しを「与える」のではなく、「引き出す」という視点
ヒーリングというと、多くの人が「癒しのエネルギーを相手に与えるもの」と捉えがちです。
しかし、本質的なヒーリングのやり方は、それとは少し違います。
癒す側であるヒーラー(またはナビゲーター)は、クライアントにエネルギーを注ぐ存在ではなく、
その人自身が本来持っている癒しの力を引き出す存在です。
そのためにヒーラーに求められるのは、相手をコントロールしようとしない姿勢。
むしろ、以下のような関わり方が大切になります。
- 相手の選択や変化を信頼し、妨げずに見守る
- 問題を“解決する”のではなく、気づきを促す
- 対話や共鳴を通じて、相手の自己治癒力を活性化させる
これは非常に繊細なプロセスであり、技術やスキル以上に、ヒーラー自身の在り方や意識が問われる部分です。
癒されたヒーラーとは、「すでに完璧な存在」ではなく、
クライアントのプロセスを尊重しながら、自分の状態も整え続けている人です。
「癒そう」と力むのではなく、ただそばにいることの強さを信じる。
そこにこそ、本質的なヒーリングの力が宿るのです。
ヒーリングの本質は方法よりも在り方にある
「癒されていない人はヒーリングをしてはいけないのか?」という問いに、白黒はっきりした答えを求めたくなる気持ちはよく分かります。
しかし本質は、その問いの立て方そのものにあります。
人は誰しもが日々揺れ動き、完全に癒された状態を維持することはできません。
ヒーラーであってもそれは同じです。
重要なのは、そうした不完全さを否定するのではなく、理解し、受け入れ、日々整え続ける意志を持つことです。
そして、ヒーリングの受け手であるクライアント自身も、
「本当に癒されたいのか」
「今のままでいたいという気持ちはないか」
など、自分の本心と丁寧に向き合うことが、効果を引き出す鍵となります。
ヒーリングのやり方に正解はありません。
けれども、心のあり方を整え、自分を見つめ、相手を尊重するという基本姿勢があれば、それはすでに立派なヒーリングの在り方です。
癒すことも、癒されることも、どちらも同じくらい深い学び。
今日の内容が、その学びを一歩進めるヒントになれば幸いです。